中村憲剛の2021年下半期振り返り&この1年で感じたこと(前編)
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中村憲剛の2021年下半期振り返り&この1年で感じたこと(前編)

川崎フロンターレnote部

皆様こんにちは。中村憲剛です。
前回ここに登場させてもらった時は、2021年上半期を振り返る内容だったと思います。そして今回は中村憲剛の2021年下半期を振り返りつつ、引退して1年、駆け抜けてきた中で思ったことや感じたことをお話ししていきたいと思います。

引退して最初の1年である2021年は、本当にあっという間に過ぎた1年でした。現役時代も1年が過ぎるのは早いなぁとは思っていましたが、現役時代よりも早かった実感があります。

それもひとえに、年間を通して多くの方たちからお仕事をいただけたからに他なりません。

正直なところ、現役を引退した自分にどんどん仕事が入るのは最初の半年ぐらいだと思っていたんです。引退特需的なイメージで。まさにここで上半期を振り返った時期くらいがピークだろうなと思ってました。当の本人が。

しかしながら、下半期は上半期を上回る勢いでお話しをいただいたとマネージメントサイドからも聞きました。これは本当にありがたい限りでした。

そして、これは年間を通してほぼそうだったのですが、現役選手からOBへと職種が変わり、仕事の内容も一変したことで、当然ですがどこへ行ってもほとんどの方と「はじめまして」とご挨拶する毎日になりました。これまで18年間、狭い世界(これは悪い意味で言っているのではなく、致し方ないところだと思います。また、個人的にプレーに専念するという意味で意図的に制限をしてきたところがあるので、誤解なきよう…)で生きてきましたが、今年1年で世界が一気に広がりました。これは僕が望んでいたことであるので、とても刺激的でした。

新社会人1年生として飛び込んだ新しい世界。

最初は右も左もわからない、触れるもの見るもの起こる出来事のほとんど全てが新鮮でした。

これまでは同じ職場に通い、決められた年間スケジュール→月間スケジュール→週のスケジュール→1日毎のスケジュールと細分化されてトレーニング、公式戦に向かっていく日々でしたし、それに慣れきっていたので、今年は気持ちを新たにしないといけないと覚悟を持って臨みました。

そうやって毎日のように行く場所が変わる日々の中で、2021年上半期と下半期の違いがあるとすれば、良い意味で少しずつ現場に慣れてきたということが挙げられます。もちろんどんな仕事も緊張はするんですが、上半期のような過度の緊張はなくなってきました。こう見えてまぁまぁの人見知りですし、いつもしてるようには見えないと言われるのですが、緊張もかなりしているんですよ(苦笑)。

改めて、一緒にお仕事をさせていただいた皆様、そしてせっかくオファーしてくださったにも関わらず、スケジュールの都合で泣く泣く断ってしまった皆様に感謝の気持ちを伝えたいと思います。

本当にありがとうございました!

まず今年の自分の仕事内容を大きく分けると、メディア出演、指導者活動、普及活動(講演等)、この3本柱になると思います。

メディア出演はサッカー番組や試合解説、動画配信への出演、またサッカー雑誌や新聞、webメディアでの連載や解説、対談など。

指導者活動はB級ライセンスの講習を受けながら、U-17日本代表ロールモデル、フロンターレの育成年代を見に行くこともありましたし、自分のサッカースクールの実践指導もやりました。

あとは普及活動です。個人的なプロサッカー選手としての話はもちろんですが、Jリーグやフロンターレの取り組み、組織論や地域貢献活動といったテーマについて語ることが多かったです。

今年は引退して1年目でもありましたし、基本的にはオファーしていただいたものは全部やりたいと思っていました。また自分が呼ばれている以上、期待はされていると常に思っていますし、その期待に応えられるよう、その価値を示さなければいけないと意識をして仕事に取り組んだつもりです。

そういう意味では、仕事に臨むマインドは現役時代と全く変わらなかったです。良い準備をして、本番が来た時にしっかりと全力で自分のパフォーマンスを出す。そのパフォーマンスを評価してもらい、次戦起用されるかどうかが決まる。働く場所や立ち位置は変わりましたが、毎回が勝負というワクワク感と期待感、緊張感と不安感は現役時代と同じでしたし、メンタル面は変わりませんでした。

ひとつの仕事に多くの方たちが関わっているのはこれまでも分かってはいましたが、日常的に制作現場で共にお仕事をする中で、本当に多くの方たちがサッカーが好きで、サッカーをより多くの人たちへ伝えたい、という思いを持って制作に当たってくださっていることを改めて感じました。1人ひとりがそれぞれの役割をプロフェッショナルとしてまっとうしながら、みんなでより良いものに作り上げていく。その過程に僕も携わるなかで、そのことが嬉しかったですし、みなさんにもその事実を知ってほしいと思います。

現役を引退して新生活が始まった時に、選択肢や方向性をひとつに絞らないで、やれること全て全力で頑張ろうとこの1年やってきました。多くの刺激的な経験を積み重ねた結果、思い描いていた1年後に限りなく近い、ある程度自分の目標を達成できた1年だったのかなと感じています。

ここからは引退後の主な活動になった3本柱を振り返っていきたいと思います。

まずはメディア出演から。

引退後、本当に多くのメディアに出演させていただきました。起用してくださった皆様ありがとうございました。今年からボールを蹴るのではなく、喋るお仕事が増えましたが、主に試合解説のところで、活動してきての反省点なのですが…、良くも悪くもどうしても長くしゃべってしまうんですよね(苦笑)。

選手時代はプレーで表現することができましたが、今は考えていることを言葉のみで伝えなければいけません。当然ですが、求められるスキルは現役時代とは全く異なります。誰に向けて話をするのかをより意識するようになりました。話術というのは本当に奥が深いです。これは自分の中でなかなか解決していない課題で、けっこう悩んだ時期もありました。

解説者としては、もう少し言葉を簡潔にして皆さんに伝わるような技術を持たなければいけないと感じています。

現役時代にゲスト解説で出演する時は、思っていることを直感的に話しても良かったんです。現役選手でゲストでしたから。でも、今は違います。言語化するという点では皆さんに分かりやすいと言っていただけるんですが、その分どうしても長尺になってしまいます。ここです。悩みの種は。

そこをうまくカットしつつ同じ質を保つ。これがかなり難しい。サッカーが詳しい、詳しくないに関わらず、全員に分かってもらえるような解説が理想です。例えばDAZNで試合を観ている方にはある程度専門的な話をしても分かってもらえるかもしれませんが、地上波での試合ではたまたまぱっとチャンネルを合わせた、そこまでサッカーに詳しくない方をいかに引きつけるか、そのスキルが重要です。自分の話を聞いて「へー、サッカーってこういう見方があるんだ、面白いな」と思ってもらうようにしないといけません。

またサッカーは1秒1秒で局面が変わります。1秒前のプレーの解説をしたいけど、その2秒後には別の面白いプレーが出てくる。そのプレーのあとに1秒前のプレーの話をしても、観ている人の頭にはなかなか入ってこない。でも、そこを話しておかなければ2秒後のプレーにつながらない。「良いプレーでしたね」と話して終わるのか、「1秒前にこういうプレーがあったから2秒後のこのシーンを引き出せたんです」と話すのか。しかしサッカーは残酷なもので、その話をしている最中にも試合はどんどん進んでいきます(泣)。

また実況の方との良い間を作らなければいけません。そこは今シーズン継続的な自分の反省点です。実況の方の呼吸を読み切れず、自分の言いたいことだけをばーっと言ってしまい、実況の方と被ってしまうことが多々ありました。あとから自分の解説を聞いてみると、ずーっと話していて何だか疲れるなーって(苦笑)。言っている事自体は皆さんの興味を引くような話をしているつもりなんですが、聞いている側としてはちょっとうるさいなと感じる人もいると思います。実際、息子に「パパ、面白いんだけど、しゃべりすぎ」と言われたこともあります(笑)。

サッカー関係者の方から憲剛の解説は面白いと言ってくれることもあります。そんなことを考えながらプレーしていたのかって。でも、実際に試合を観ている方の中には、たまにしかサッカーを観ない人がいたり、ルールに詳しくない人もいます。正解はないんですが、どこまで話をするか。この配分が非常に難しいです。でも実際はじまっちゃうと、試合に入り込んでしまうのでしゃべってしまうという(笑)。さじ加減が本当に悩ましいです。やはり、長尺になってる部分を質はそのままに簡潔に伝える技術を養わないといけませんね。あとは観てくれているみなさんに判断してもらいたいなと思います。
(中編に続く)


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