いまフロンターレで輝きを放っている男が佐々木旭。主戦場はSBだが、ここ2試合はCBで力強いパフォーマンスを披露。ボールを奪い切る守備力と体を張って弾き返す空中戦に加えて、ビルドアップでも攻撃的な姿勢を貫いてチームにエネルギーを与えている存在だ。

その好調の裏にあるのは試合に向けての準備のこだわり。例年と同様に全体練習から集中して取り組んだあと、今年は遅くまでクラブハウスに残ってパーソナルトレーニングや交代浴でコンディションを整えるなど1日1日、自分の体と向き合ってきた。その結果が「体が軽いし思うように動いているのでいい感覚でプレーできてるし、試合中の予測も鋭い反応ができている」（佐々木）。加えて、試合中に声を出して最終ラインでリーダーシップ発揮している姿は頼もしい限り。

「けっこう声を出すようになったし、声をかけていれば自分の集中力も上がる。CBは失点に絡んでしまうことが多いので、どうしても失点後は声が出なくなったりすることもあった。でもユウさん（小林悠）に『声を出すのは必要だ』と言われてから意識的に声を出せるようになっているのが大きいのかなと」

プロ1年目はミスをすれば凹んでしまうこともあったが当時のキャプテン谷口彰悟に「何年か経ったらミスなんて覚えていない。誰も気にしてなんかいないよ」と声をかけられてから「ミスをしてもサッカー人生が終わるわけではない。ミスは誰にでもあることだから思い切りやろう」と吹っ切れたことが積極性につながった。あのときから変わらずに先輩選手から言われたことを受け入れ、頭で意識して実行に移せる素直さがあるからこそ佐々木は1つひとつ成長しているのだろう。

そしてファン感を経てサポーターとチームの結束が強まって迎える勝負のシーズン後半戦。佐々木も闘志を燃やす。

「前半戦はすごくもったいない試合が多かった。負けた試合はしっかりと引き分けにもっていかなければいけなかったし、引き分けの試合は勝たなければいけなかった。ここからは全部勝つつもりでやって、全部の試合で負けないように意識して戦っていきたい」

背番号5の躍動からフロンターレの逆襲が始まることを期待したい。

（高澤真輝）