【F通信】登里享平「全員が同じ方向を向いて戦うことができた」
気温と湿度が高く、立っているだけでも汗が吹き出てくる。とにかく天皇杯準々決勝の新潟戦はタフな戦いだった。そのなかでプレーをするのだから体力の消耗はいつも以上に激しかっただろう。ただ、サッカーは個人競技ではなくチームスポーツ。声をかけ合いながら誰かが倒れそうになったとしても、助け合って励まし合って全力で走る。そして感情を共有することで一体感が生まれ、強さへとつながっていくものだ。
これは逆境になればなるほど重要なこと。新潟戦も先制点を許したあとに、延長戦で逆転に成功するもラストワンプレーで同点に追い付かれてPK戦へともつれこんだ。メンタルが下向きになってもおかしくない展開だ。それでも試合開始からポジティブな声や指示を出し続けていた登里がチョン ソンリョンに「今日もたくさん止めてくれたし、PK戦で勝てばいいよ」と笑顔で話すなど、決してマイナスに考えることなく自分たちを信じてチームの一体感は崩れることはなかった。その結果が、勝利を手にすることになった。
「アウェイゲームで蒸し暑さもあって体力的にも厳しいところはありました。でも、そのなかで声をかけ合うことは重要なこと。特にカップ戦はそういった細かいことが勝負を分けます。全員が同じ方向を向いて戦うことができたので、これからも今日のような戦いを意識しないといけないと思っています」(登里)
加えて登里はフル出場。巧みなポジショニングから生み出される攻撃や、何度も歯を食いしばって上下動して相手に食らいついていた。登里の他にもフィールドプレーヤーでフル出場した山根視来、大南拓磨、車屋紳太郎。106分までプレーした瀬古樹は相当なキツさもあっただろうが歯を食いしばって戦い抜く姿は胸にはグッとくるものがあった。
そんな激闘から中2日でアウェイC大阪戦。「中2日だけど、そこは言い訳にしたくない。チームとして戦い方を合わせて勝ちにつなげたいし、90分でいいパフォーマンスをしたい。もう次に向けての戦いは始まっているので、一喜一憂せず切り替えていい準備したい」とは登里の言葉。この勢いのままフロンターレが大阪に乗り込む。
(高澤真輝)