【F通信】橘田健人 ”絶対に”
リーグ戦を終えてフロンターレは8位フィニッシュ。振り返れば、なかなか勝点を積むことができない時期もあり、もがき続けたシーズンでもあった。
そんな成績に対し、今シーズンからキャプテンに就任した橘田健人は責任を感じ「色んな悩みもあった」。それが少し後ろ向きなプレーが多くなったことにもつながり、ときには試合に出られない日々も過ごした。
「何をしているんだろう…」
唇を噛み、悔しさで溢れる毎日だった。それでも家族や、鬼木達監督の言葉に支えられ、トレーニングから必死に取り組んで掴んだスタメン復帰。J1リーグ第22節のG大阪戦は勝利できなかったが、背番号8が背中で引っ張る自分らしいキャプテン像を体現。この試合から次第に自信を取り戻していった。
そのなかで多くの人の記憶に深く刻み込まれているACLグループステージ第1節 蔚山戦の終了間際に決めた強烈ミドルの決勝点だろう。試合後に「自分のゴールでチームを勝たせることができた瞬間、特別な思いになった」と安堵した表情で話した橘田。あのとき、やっと本当の笑顔を見せたような気がして、1年前に話していた言葉を思い出した。
「僕はサッカーを楽しむために、常に上を目指しているし、もっと上に行きたい。『アイツがいないから、このチームは成り立たない』『そんなに目立ってないけど、アイツが効いているんだよな』と言われるような選手になりたい」
やっぱり楽しそうにプレーし、いつも重要な局面でチームの助けになってくれるのが橘田健人だ。そんな姿を見せてくれたからこそ10月から公式戦無敗と勢いにも乗ることができた。立ちはだかった分厚くて高い壁を必死に登り続け、少し重そうに見えたキャプテンマークも体の一部となり、より力強い選手へと成長も遂げた。
そして乗り越えた先に待っている天皇杯決勝へ。国立の舞台でトロフィーを掲げために、橘田は強い思いをぶつける。
「シーズンを振り返ると上手くいかない時期もあったが、チームとして強くなっているし、成長していると感じている。あの勝てなかったときの経験があるから“今がある”と思えるように、絶対に天皇杯は優勝したい」
“絶対に“。タイトルを獲る。
(高澤真輝)