【F通信】早坂勇希 ここからがスタート
ゲーム形式のトレーニングで1番と言っていいほど大きな声を出す。それは声が届くか分からない大観衆が詰めかけるスタジアムでも変わらない。チームを鼓舞し続けて、全力でフロンターレのために一緒に戦うのが早坂勇希の姿だった。そのうえで公式戦のピッチに立つために常に最善の準備をしていた。
「声を出すことでフィールドに立つ選手の一歩を踏み出す力になってもらいたいし、一緒に戦っている仲間として鼓舞したい。練習から全力でやることもそうだけど、信頼を勝ち取るために365日ケガなく健康でい続けることを意識している。徐々に信頼を勝ち取っていかないといけないし、妥協を許さない。キツいときこそ頑張る。それが大事だし、常に自分に矢印を向けながらやらなければいけないと思っている」
その前向きに努力をした結果が前節の横浜FM戦でのプロ初スタメンにつながった。チョン ソンリョンのコンディション不良にとって巡ってきたチャンス。もちろん不安や緊張もあったが、チームメイトから様々な声をかけられてスイッチが入った。
「ずっと公式戦のピッチを目指してやってきた。自信をもってプレーするのを心がけていたし、しっかり無失点に抑えられれば前線が得点を取れると思っていたので、自分にできることを1つひとつやろうと思って試合に入った」
ファーストプレーから落ち着いて相手の攻撃に対応していったが後半にPKで先制点を許してから3失点を喫してしまった。PKもシュートを触れていただけに悔しさもこみ上げてくる。それでも最後まで早坂らしく声を出して前を向き続けていたのは頼もしかった。
そして、また次の試合に向けての準備が始まった。
「デビューをしたからと言って変わらない。プロになってから1日目と同じように集中して準備している。そのなかで試合に出たからこそ出た課題を改善していきたい。プロサッカー選手である以上、試合に出ることで価値が出てくる。いい準備をしてチャンスがもらえるようにアピールをしていきたい。それに次の浦和戦は埼スタ。プロで初めてベンチに入った場所で、プロ初勝利をつかめるチャンスでもある。しっかり準備をして自分らしく自信をもってやっていけるようにやっていきたい」
早坂にとってここからがスタート。熾烈なGKのポジション争いで成長しながら、チームの勝利に貢献するために──。自分らしくフロンターレのエンブレムを胸に戦う。
(高澤真輝)