【Voice!】2024年川崎フロンターレ加入内定 山内日向汰(桐蔭横浜大学)
──まずは2024シーズンの加入が内定したときの率直な感想をお願いします。
「内定が決まったときは自分の想像とは少し違っていて、嬉しさや喜びというよりはほっとした気持ちが先にきました」
──どんなところを評価されたと思いますか?
「ゴールに直結するプレーには自信があるので、もしかするとそういうところを見てもらえたのかなと思っています」
──昨年の夏に約1ヶ月間練習参加して、11月のベトナム遠征にも参加しました。自分のなかでは手応えはあったんですか?
「練習参加させてもらった当初は、正直なところ可能性は五分五分ぐらいかなという感覚でした。最初はなるべく悪目立ちしないようにと思いながら練習していましたが、あの1ヶ月でいろいろなものを吸収できたと思います。フロンターレはプレースピードが速いので、大学に戻ったときに相手との距離が近くてもそれほどプレッシャーを感じなかったりして、そこで成長を実感できました。あとはやっぱり11月のベトナム遠征の試合に出られたのが大きかったです」
──ベトナム遠征でのビンズンFCとの親善試合では中盤ではなく左サイドバックに入り、カットインから強烈なミドルシュートを決めました。とにかく自分の持ち味を出してやろうという感覚だったんですか?
「自分の特徴はドリブルやシュートなので、そういう部分を少しでも出せたらいいなと思っていました。あとサイドバックはあまりやったことがないポジションだったので、何事もなく終われるように、と思いつつ(笑)。ミスがないようにと意識していました」
──山内選手はU-10からU-18まで川崎フロンターレのアカデミーに所属していました。アカデミーに入るきっかけは?
「『セレクション受けてみれば』と親に勧められて、受かったのがフロンターレでした。小学校3年生でアカデミーに入ったんですが、子どもだったのでどんなチームがあるのかよく知らなくて、Jリーグに下部組織があることも知りませんでした」
──アカデミーの同学年に宮城天選手(長崎に期限付き移籍中)がいましたが、どんな関係性だったんですか?
「テンが前のポジションにいてジュニアのときは勝手に点を取ってくる感じで、とくに自分が何かしたわけではないです。アカデミーの頃はやっぱり負けたくなくて、けっこうバチバチしていたかもしれません(笑)。思考的にちょっと似ているところがあって、感じることが同じなのでお互いに多少意識していました。逆に僕が大学に行ってからテンとよくしゃべるようになりましたね」
──いまふり返ってみて、アカデミー時代に学んだことは?
「ジュニアの頃からみんな足元の技術をすごく大事にしていて、それは自分も大事だなと思ってずっと練習していました。あとは小学校3年生でアカデミーに入って目上の人と話す機会が増えて、サッカーはもちろんですが、それ以外の人間的な部分でも成長できたと思います」
──フロンターレU-18から桐蔭横浜大学に進学しました。U-18からトップチームに昇格したいという思いはあったんですか?
「U-18の頃は実力的にもそうですしイメージもできていなかったので、高卒でプロになるというのは全然考えていませんでした。ただ、これだけはっきり覚えているんですが、高校3年生のときに『大学を卒業したら絶対プロになる』という強い意志がありました」
──桐蔭横浜大学サッカー部でどんなところが成長したと思いますか?
「大学に入って自分の体のことについていろいろ勉強して、それをトレーニングに採り入れて自分のコンディションが今どうなっているかを考えながら取り組むようになりました。大学2年の後半ぐらいから身体的にいい状態で試合に臨めるようになったのが大きいと思います」
──やはりフロンターレでプロになりたいという気持ちが強かったんでしょうか。
「フロンターレに入りたいと思っていましたが、大学2年の段階で他のJ1クラブからオファーをいただいて、自分のキャリアを考えたときに正直、かなり悩みました。でも最終的に、フロンターレでプロにならなければ意味がない、お世話になったフロンターレで活躍したいと思って決断しました」
──山内選手が来シーズン加入すると、桐蔭横浜大学サッカー部から5年連続でのフロンターレ入りとなります(イサカ ゼイン[現山形]、橘田健人、早坂勇希、山田新)。近年多くのプロ選手を輩出していますが、その要因は何だと思いますか?
「うーん…、自分でもよくわかりません。練習にしても鳥かごや2対1、シュート、それからゲームが主体で、ずっとその繰り返しです。走りに関しても、そこまできついメニューがあるわけではなく。結局のところ、1人ひとりの自主性だと思います。足りないところがあれば、それぞれがちゃんとやっていたので。同じポジションのケントくん(橘田健人)が大学4年のときに僕が1年で、大学のコーチに『フロンターレに戻りたいならケントを超えればいいんだよ』と言われました。『いやそれは絶対無理だろ』と内心思いましたが(笑)。でも、身近にすごい先輩たちがいたおかげで、いい刺激を受けて成長できたと思います」
──自分の武器は何だと思いますか?
「最近周りからはドリブラーと言われるんですが、自分ではそう思っていなくて、どちらかというとパスを出したりチャンスメイクをするほうが好きです。ただ、自分が行けると思ったときは積極的にドリブルやシュートを狙っていきます」
──大学でのテーマや目標はありますか?
「去年インカレ優勝して周りから相当意識されると思いますが、目指すのはもちろん連覇です。それから関東リーグやアミノバイタルカップなど、手が届かなかったタイトルをひとつでも多く獲りたいです。個人的にはU-21日本代表のトレーニングパートナーで練習に行かせてもらって、代表に入りたいという思いが強くなりました。メンバーに食い込めるように、大学サッカーで圧倒的な存在になれるよう成長したいです」
──では最後にファン、サポーターの皆さんへメッセージをお願いします。
「フロンターレサポーターの皆さんの温かさはアカデミー時代から知っているので、また皆さんの前でプレーできるのは本当に楽しみです。成長した姿をピッチで見せられるように頑張ります。プロの一員として1日でも早く試合に出たいです。応援よろしくお願いします」
(取材・麻生広郷)