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【Voice!】1次キャンプを終えて・大島僚太選手


1月15日から1月21日の1週間、沖縄県国頭郡恩納村で行われた1次キャンプ。新加入選手を加えてコミュニケーションを深めつつ、チームとしての土台を固める充実したトレーニング期間となった。1次キャンプ最終日の前日、大島僚太選手に話を聞いた。

「がむしゃらにプレーする自分を取り戻すために」


──沖縄での1次キャンプも明日で終了ですが(取材時)、ここまでの個人の状態はいかがでしょうか?

みんな一緒だと思いますけど、キャンプ終盤なのでけっこう疲れがきているなと。個人的には去年のシーズンが終わってからも週3日、週4日でトレーニングを続けてきました。コンディションがいい悪いということではなくて、継続してトレーニングを重ねられているのはいいことだと思います。

──昨シーズン、リーグ戦終了後にチームはアジアツアーを行いましたが、大島選手は日本に残りトレーニングを続けていました。

そうですね。去年の11月5日に最終節が終わって、翌日にチームの解散式でしたよね。11月7日から週4日ペースで11月末までトレーニングをやって、12月頭に1週間休みをもらって、それからクラブハウスが開放されていた12月26日まで週3日、週4日でトレーニングを続けていました。でも、だからといって(怪我の)怖さがないわけではないです。いま100%で動けているかというと難しいところですが、そこは自分の気持ち的に吹っ切れるかどうかだと思います。

──今回はオフシーズンもトレーニングを積むという形を取って、新しいシーズン入ったときにどうなるかというところでしょうか。

そうですね。ここ数年、最初の試合で違和感があったり、2、3試合目で、というのが続いているので。自分が試合に出る出ないに関係なく、チームから離れないようにしたいなと思っています。

──新チームが始動し1次キャンプに入りましたが、今年のチームの雰囲気をどのように感じていますか?

チームとしてやろうとしているベースはそこまで変えずに。でも、ちょっと変わるところもあり、という感じですかね。移籍してきた選手たちを含めてそれぞれ考えがあるので、いろいろコミュニケーションを取りながらチーム作りが進んでいるのはいいことだと思います。疑問点があったら選手間でも話し合いますし。

──今シーズンは若い選手が多いですが、大島選手の目からはどのように映っていますか?

自分もそういう年齢のときがありましたけど、個人のスキルに関してはみんなめちゃめちゃうまいなって思います。でもチームとしてどう機能するかとか、個のプレー以外の部分はまだまだ改善できるんじゃないかなと。個人の能力はより上がった方がいいと思いますし、それに加えてチームとしてもうまくできるようになったらいいですよね。

──若い選手たちとよく話をしますか?

高井(高井幸大)や大関(大関友翔)、ナガネ(松長根悠仁)は去年からちょくちょく練習に来ていたので、ピッチ内外でしゃべる回数は自然と多くなりますね。名願(名願斗哉)は高校選手権が終わってすぐ川崎に来て、数日してそのままキャンプインなので大変だと思います。実際に僕もそんな感じのプロ1年目でした。まともに練習参加せずにプロに入って、当時のフロンターレの選手の名前を覚えられない状況からスタートしたので。当時はキャンプ地のホテルが4人部屋でしたけど、いまは1人部屋でみんなと一緒に行動するのが練習中と食事中ぐらいなので、けっこう大変だろうなって思いながら見ています。めっちゃ他人事みたいに言ってますけど(笑)。

──今年でプロ13年目を迎えますが。

数字でいえば13年目ですけど、ここ2年ぐらい棒に振っているので、僕自身はまだそこまで年月が経っている感覚がないんですよね。でも、在籍年数でいえば確実に古株になってきて、初優勝した2017年にいたメンバーもだんだん少なくなってきました。年齢を重ねたからどうこうというのはあまりなくて、まず自分が100%でプレーできるようになることが一番です。周りからどう見られているかはわからないですが、自分としてはがむしゃらにプレーしているときが一番成長していたと思います。そういう感情と体の状態がリンクするときが早く来てほしいなと。

──こればかりは実際シーズンがはじまってみないとわからないですかね。

そうですね。怪我が気にならなかったときは当然怖さもなくて、すぐに頭と体がつながっている状態に持っていくことができました。いまは怪我が2年ぐらい続いたことでどこかしらセーブしている自分がいて、周りからもそう見られている部分があると思うんですよね。克服できるかどうかはわからないですけど、自分のなかでうまく消化して余計なことを考えずに全力でプレーできる自分になりたいなと思っています。

──プライベートでは一昨年に第一子が生まれました。子供ができると人生観が変わるとよく言いますが、大島選手はいかがでしょうか?

どうなんですかね。サッカー選手でいうと、「子供の記憶に残るまでプレーしたい」という言葉をよく聞きます。そういう気持ちは僕も多少なりともある気がしますけど、まずは自分自身の気持ちが一番ですね。怖いながらにプレーしている自分がどれだけぎりぎりの状態かは自分自身にしかわからないですし、こればかりはいつ気持ちが切れてもしょうがないという思いでやっています。ただ、家族がいることで気持ち的には確実に落ち着きますし、日常生活で怪我が怖いと思うことが減りました。それまではサッカー以外で走り回るようなことはまったくなかったんですけど、いまは気にせず子供を抱えて走り回ったり、軽い鬼ごっこをしたりして遊んでいます。そういう何気ない瞬間を噛み締めつつ、日々家族からいいエネルギーをもらっています。

──1次キャンプ終了後、少しリフレッシュ期間を挟み2次キャンプがスタートします。2次キャンプでは練習試合も入ってきて、チームとしての戦い方もより明確になってきます。

そうですね。自分としてはおもいきりサッカーをやるために、何か感じたことがあればチームメイトとコミュニケーションを取って伝えていきたいです。迷いながらプレーしてもいいことはないと思うので。まだこれからの段階ではありますけど、攻守においてみんなで新しいチームを作り上げていきたいです。

──それこそがむしゃらにプレーする感覚が自分のなかで戻ってくれば、おのずとチームにいい影響を与えられそうですね。

そう思います。結局はそこかなと。いまはFW2人が怪我をしている状態でメンバーがどうなるかわからないですが、開幕戦で去年の王者のマリノスと対戦できることをポジティブにとらえています。開幕戦は「金J」ということで(2月17日[金])、監督も金曜日に一発目の試合をすることの意味を説いてくれたり、そこに向かうマインドを導いてくれると思います。王者が相手だからといってリスペクトしすぎず、チームとして全力をぶつけることができればいい方向に向かっていけるんじゃないかなと。まずはチームとして個人としていい形で開幕を迎えるために、充実した2次キャンプにしたいと思います。

(2023年1月20日取材・麻生広郷)

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