【Voice!】2022年川崎フロンターレ加入内定・松井蓮之
法政大学所属、現3年生の松井蓮之(まついれんじ)選手の2022シーズンの加入が内定しました。今シーズンの公式戦に出場できるJFA・Jリーグ特別指定選手にも登録されています。松井選手は今年2月1日から実施された沖縄県でのトレーニングキャンプにフル参加。ハードワークとボール奪取力に優れたMFです。沖縄キャンプ中の松井選手に話を伺いました(2021年2月11日取材)。
──2022シーズンからのフロンターレ加入が内定しました。現在の心境を教えてください。
「こんなに早い段階でオファーをいただけたことは光栄ですし、すごく嬉しいです。昨年圧倒的な力を見せて優勝したフロンターレから声をかけていただき、僕自身も一番成長できる環境だと思って決めました。ただ、まだ信じられないというか。今の僕は足りない部分がたくさんあるので、こんなすごいチームに加入するのは正直なところ不安も大きいです」
──もともとプロ志望だったんですか?
「小さな頃からプロのサッカー選手になることを夢見ていて、自分としては高卒でプロに行くというよりは大学4年間で積み上げてプロに行けたらいいなと思っていました。まだ大学3年生なのであと1年間残っているんですが、大学サッカーを通して成長できて、こうしてプロからお話をいただけたことを嬉しく思います」
──向島建スカウト(川崎フロンターレ スカウト)の話によると、大学に入って途中から一気に伸びたということですが。
「大学1、2年生はAチームに絡むことなくBチーム、関東リーグのひとつ下のカテゴリーのIリーグでプレーしていて、自分としてはもどかしい気持ち、悔しい気持ちがありました。それから3年生になって試合に出させてもらったんですが、僕としてはAチームでもやれる自信はありましたし、いつチャンスが来ても力を出せるよう準備をしてきたつもりです。そこで自分の良さを表現できたのが今につながっているのかなと思います」
──自分の中で何かつかんだものがあるのでしょうか?
「法政大学は後ろからつなぐサッカーなんですが、そこでチームとしてやるべきことをやりながら周りと違うアクセントをつけるというか、自分の持ち味の守備で力を出せたのが監督が使ってくれた要因だと思っています。球際の強さやボール奪取、攻守の運動量が自分の一番の武器だと思っていて、そこは負けたくない部分です。その特徴を自分自身で理解して意識しながらプレーしていたところもあるので、それが良かったのかなと思います」
──フロンターレのトレーニングキャンプに参加しましたが、球際の競り合いでフィジカルの強さを見せていました。
「ボールの取り方や奪いにいくタイミングはまだまだですが、ほんの少しはやれている部分もあると思います。そこはもっと自分の特徴を出せば周りの選手に僕のことを知ってもらえると思うんですが、まだ最初なので遠慮しちゃう部分もありつつ…(苦笑)。でも、そこは絶対に誰にも負けたくない部分なので、少しずつ自分の良さを出していけたらと思っています」
──正式にプロ入りするまでまだ1年以上あると考えると、この時期にキャンプに参加できたのは大きな経験ですね。
「本当にそう思います。僕自身こんなに早くプロ入りが決まると思いませんでした。この時期にオファーをいただいて、3年生の段階でキャンプに参加させてもらうのはプラスしかないです。もちろんぱっとトレーニングに入って自分に何かできるということはなくて、本当に課題ばかりです。でも、その課題が自分の中でより明確になりました。当然ですが大学とプロではすべてが違います。そこで気づいた課題をより深く落とし込んで、自分に足りないものは何かを発見できたキャンプでした。個人的にまだまだ力不足だと痛感したので、大学に戻って1年間また練習するしかないと思っています」
──課題というのは具体的にどのあたりでしょうか?
「フロンターレのサッカーは見ている人を魅了したり、相手を翻弄しながら勝つサッカーだと感じています。そのサッカーに入っていくためには、自分の技術ではまだまだ足りないです。選手1人ひとりのボールを止めて蹴る、運ぶといった基本技術のレベルの高さにびっくりしましたし、自分もそこまでいかないと試合に絡めないと痛感しました。逆にいえば、自分に足りない技術を伸ばして成長できるチームは、やっぱりフロンターレなのかなと感じています」
──キャンプでの練習試合にも出場しました。
「大学でもプロと試合をするときがあるんですが、自分がプロのチームに入って試合をやるのは初めてでした。プレーの強度やスピード、判断は今までにないぐらいの速さで、自分の中ですごくいい経験でした。大学に戻ってもその感覚を持ちながら取り組んでいけば、余裕を持ってではないですが少しは違いを見せられるんじゃないかなと思えるようになりました。出場時間は短かったですけど、本当にいい経験になりました」
──プロはプロのスピード感やテンポがあって、大学ではプレ−の仕方が違うと思いますが、その難しさはありますか?
「そうですね。大学での守備の仕方はフロンターレとは全然違いますし、選手間の共通理解もまったく違います。そこは自分自身で考えて行動に移して、チームにうまく合わせていかなければならないです。そればできればどんなチームでも必要とされる存在になれると思うので」
──キャンプにフル参加したことで、ピッチ外でもチームに溶け込めているようですね。
「ピッチではバチバチなんですけど練習後にアドバイスもいただけたり、想像以上に皆さんが優しくて本当にありがたいです。オフでは人が変わったようにフレンドリーで、いろんなことを気にかけて話してくれる選手が多いので、すごくやりやすい環境だなと。思っていた以上にいい雰囲気です」
──チームメイトからは「レンジ」と呼ばれていますが。
「はい、レンジと呼んでください。あまり聞かない名前ですし、なかなか読めないと思いますが(笑)」
──見た目が大人っぽい雰囲気ですね。最初クラブハウスに来たとき、新しいスタッフの人かと思いました。
「レオ君(旗手怜央)にもいわれました。『新しい若手のドクターかと思った』って。確かに老けてるといわれますし、あまり大学生には見られないかも…。ケント君(橘田健人/川崎フロンターレ)よりは大人っぽい自信はあります(笑)」
──現在大学3年生ですが(2021年2月時点)、この1年間をどのように過ごしたいですか?
「日本のトップレベルを体感して『いい経験だった』と、ただ口で言うのは簡単です。自分に足りない部分がより明確になったので、まずは大学に帰って個人的なテーマに向き合うのはもちろんですが、チームメイトにも還元できたらいいなと思っています。今は大学生なので、大学サッカーで日本一になるのが目標です。この経験をみんなに還元しつつ、自分自身も成長できたらいいなと思っています」
──サッカー選手としてこうなっていきたいという目標はありますか?
「小さなころから憧れていたプロサッカー選手になれるということで、みんなに夢を与えられるような、夢を与え続けられるような選手になりたいです。僕は技術的にうまい選手ではないですし、何かを見せられる選手ではないですが、泥臭く戦って気持ちの部分を見せることはできます。そこで応援される選手になりたいです。自分みたいな選手になりたいと思ってもらえるようなプロサッカー選手を目指しています」
(取材・麻生広郷)